“日本全国”が診療圏の病院 治療も入院期間も徹底的に短く 循環器内科医 細川丈志 Jyouzi Hosokawa

地域密着型の医療ではなく、
“日本全国”が診療圏の病院

東京ハートセンターはふつうの病院とはだいぶ違うかもしれません。いちばん大きな違いは、地域密着型の病院“ではない”というところでしょうか。地域の患者さんもみえますが、それほど多くありません。むしろ関東一円及び全国各地から来られる患者さんのほうが多く、海外から治療を受けに来る患者さんもいます。そういう意味では、“日本全国が診療圏”と言えるかもしれません。

当センターでの治療を希望される方は、大きく3つのタイプに分けられます。「過去に受けた検査や治療で苦痛を覚え、別のところでやってもらいたいと望まれる方」、「治療がむずかしい病状だったり、持病や年齢などの点からリスクが高いと判断されて治療を断られたりした方。治療がうまくいかず再治療が必要となる方」「とにかく短期間で検査や治療を終わらせて欲しいという方」です。

検査も治療もできるだけ1回で済ませる
治療時間も入院期間も徹底的に短く

私たちが日々の診療でこだわっているのは、ただ一つ。「いかに早く、短く治療を終わらせるか」です。

例えば、狭心症の患者さんに対して私たち循環器内科が実施する主要な治療や検査に、カテーテルという細い管を血管内に挿入して行うものがあります。医療機関のなかには、このカテーテル検査や治療に2泊3日とか、3泊4日とかの入院期間を設けているところも少なくありません。ですが、当センターのカテーテル検査の場合、患者さんは午後に検査を受け、その日のうちにお帰りになれます。また、カテーテル治療においても、翌朝には退院が可能です。

治療前に行う心電図や心臓超音波検査、CT(コンピュータ断層撮影)も原則、初診の日にすべて受けてもらいますので、検査のために何日も通って来られる必要はありません。もちろん、こうしたことが可能なのは、検査技師や放射線技師などがいつでも検査を実施できるよう、フレキシブルな対応をしているからにほかありません。

もう一つ、当センターの大きな特徴は、冠動脈の狭窄や閉塞などの病変が複数ある場合も、多くの場合、1回の治療で終わらせてしまうところです。(危険性が高いと判断されれば複数回に分けることもありますが)なかには1つの病変ずつ複数回に分けて治療する医療機関もあるようですが、1度にやってしまえばカテーテルの挿入も1度で済みますし、複数の病変があるからといって治療時間が大幅に長くなることはありません。患者さんの体への負担も軽く、何度も入院する必要がないので入院費も安くすみます。いいことづくしなのです(それをなぜ複数回に分けて治療をするのか、そういう施設には逆に疑問を覚えます)。

治療や検査時間もできる限りスピーディに、を心がけています。もちろん「安全に、確実に、速く」という意味です。実は、カテーテル操作では慎重にならなければいけない場面がありますが、当センターの循環器内科医はそれが経験や学んだ知識からよく理解できているので、緩急をつけながら無駄に時間をかけず、効率よく検査や治療を進めることができる。それが結果的に安全で、確実で、速い検査や治療につながっているのです。

90~95%の症例は誰がやっても同じ
残り数%をどう診るかが重要

カテーテルによる検査や治療が始まったのは、1977年。それ以来、瞬く間に普及し、今ではほとんどの循環器内科でカテーテル検査や治療が実施されています。カテーテルや血管を膨らますバルーン、血管を支えるステントなどの治療機器や血管内の状態を写す画像の質が格段によくなりました。そのため、今では90~95%の適応症例であれば、どんな循環器内科医が担当しても遜色なく、同じような結果を残せるようになりました。

問題は残りの数%で、そこはやはり医師の実力、技術の力で差が出てきます。例えば完全に詰まっている(閉塞している)血管を広げるには、相当の技術を擁します。

循環器内科医の実力を見極める一つの目安に症例数があります。ただし、単に症例数が多いだけではダメで、どの期間にどれだけの症例を経験したかが重要です。簡単に言えば、10年間で1000例を経験した医師より、1年間で500例経験した医師の方が腕は確かですし、500例を1人で行ったのと、10人で行ったのとでは、大きく違います。そういう意味では、当センターの循環器内科は少数精鋭で一人あたりの症例数が豊富。集中的に治療を行っていますので、技術力には絶対的な自信があります。

当センターがこれからも心臓病の専門病院として多くの方に必要とされるためには、クオリティを絶対に落とさないことが最低条件でしょう。加えて、今後はさらに入院期間や治療時間の短縮などで改善を重ねる必要があると考えています。今の状態には満足せず、次のステージを目指して、徹底的に患者さんのためにこだわっていきたいと思っています。

早期退院に向けナースからの相談を受ける姿も