東京ハートセンターでは、成人の先天性心疾患のみ手術を行っています。小児の先天性心疾患は当院では治療を行っていませんのでご了承下さい。
右心房と左心房の間の壁である心房中隔が、発生途中で、完成しなかった疾患を言います。心房中隔欠損症は、生まれつきの心臓の奇形では一番多い病気で,先天性心疾患の約7%にあたります。 体を循環した静脈血は、右心房に戻ります。右心房に集まった静脈血は右心室より肺に行き酸素を取り込んだ後左心房に帰ります。この肺で酸素を取り込んだ血液(動脈血)は左心房から左心室に行き、強力な左心室の収縮によって全身に全身送り出されます。健康人では左右の心房と心室の間には壁がありますが、この病気では左右の心房の壁に生まれつき穴があり、より圧力の高い左心房の血液の一部がこの孔を通って圧力の低い右心房に流れ、再び肺循環に入ってしまうのです。この孔を通る異常な血液の流れを手術で塞げば完治します。手術は比較的簡単で安全です。
治療しない場合、30歳ころまでに肺血管の血圧が高くなり、呼吸困難などの心不全症状、肺炎様症状、不整脈などが出ることがあります。50歳代では約4人に1人が心不全で死亡する危険があります。成人で発見されたら、なるべく速く根治手術をお勧めします。欠損孔の大きさが10mm以上、左右短絡率が40~50%以上の場合が手術適応となります。