まず、手術室に入り、心電図や血圧計を付けたあとに点滴を2つします。一つは薬を投与する為の点滴でもう一つは持続的に血圧を測る為の点滴です。普段使用している血圧計は測定した瞬間の血圧しか測れません。麻酔の薬は、眠るという作用に加えて心臓を弱らせる働きがあり心臓の悪い患者さんは血圧が下がり易い傾向があるので、持続的に血圧を測定し麻酔中の安全性を高めます。
点滴をし終わったら、今度は先ほど行った点滴のところから眠くなる薬を投与します。薬が投与されてから30秒以内ほどで意識が無くなりそこから先の記憶が無くなります。
麻酔で意識が無くなると、ご自身の力で呼吸をする事が出来なくなってしまうので、呼吸をお手伝いする為に口から喉を通して気管まで管を挿入します(気管挿管)。その管を通して麻酔のガスを吸ってもらう為にも使用します。この処置を行う時はすでに全身麻酔が効いているので、苦痛を感じる事はありません。
その後、首から点滴をさらに2つさせていただきます。一つは普段手などにしている点滴は漏れてしまう事があるため、首から心臓の近くの大きな静脈に点滴をして絶対に漏れる事のない点滴として一つ(中心静脈カテーテル)、もう一つは心臓のカテーテルの検査のように心臓の中まで管を入れて(肺動脈カテーテル)、心臓の中の血圧や心臓の血液を送り出す量を測定するために使用します。点滴をする時は全身麻酔をした後なので痛みなどは一切感じません、ただ手術が終わって目覚めた時に点滴が入ったままなので首を動かす時に邪魔になりますが、痛みはほとんど感じることはありません。
ここまで終了したら、体を消毒して手術を開始します。