ご挨拶
心臓病は日本人の死因の上位を占めており、加齢や生活習慣の変化により、今後さらに患者数の増加が予想されています。循環器疾患は急速に悪化するリスクを持つ一方で、適切なタイミングでの介入により、大きく予後が改善する可能性のある分野でもあります。
当院の循環器内科では、心疾患の予防から診断、治療、退院後の長期フォローアップに至るまで、切れ目のない包括的な循環器医療を実践しています。診療はすべて、経験豊富な循環器専門医が担当し、最新のエビデンスとテクノロジーをもとに、一人ひとりの患者様に最もふさわしい医療を提供し、安心して治療に臨んでいただける体制を整えています。
私たちは、東京都品川区という都心に位置しながら、地域のかかりつけ医のように“親しまれる医療”を大切にしています。高度な専門性と温かみのある日常診療を両立させ、地域住民の方々が気軽に相談できる身近な循環器内科としての役割を担うと同時に、全国から重症例を受け入れる心疾患専門病院として、最先端の医療技術を駆使したハイレベルな治療にも対応しています。
この“地域密着”と“専門性の深化”の両輪が、当科の最大の特徴です。
救急対応、緊急手術、心不全の包括ケアに加え、心臓ドックや健康診断による予防医療にも力を入れ、地域の“心臓の健康寿命”を守ることを使命としています。
どんな些細な不調も、遠慮なくご相談ください。
診断・治療について
循環器内科では、胸痛、動悸、息切れ、むくみ、血圧異常、失神など、多様な症状を初期段階から評価し、背後にある心疾患を正確に見極めることが重要です。診断の精度とスピードが、その後の治療方針や予後に直結するケースも少なくありません。
当科では、まず丁寧な問診と診察を基本とし、心電図、心エコー、血管エコー、ホルター心電図、血液検査、冠動脈CT、心筋シンチグラフィなどの検査を組み合わせて評価を進めます。心臓弁膜症などの評価には欠かせない経食道心エコー(TEE)にも多数の実績があり、詳細な心臓構造の評価にも対応しています。検査は院内で完結すると同時に、多くの検査結果は当日中にご説明できる体制を整えており、遠方から来院される患者様にとっても時間的・心理的負担を抑えた診療が可能です。
不整脈の診療においては、携帯型心電計の貸与や、スマートウォッチによる心電図測定に対応する専用外来も設けており、発作性不整脈の早期診断にも力を入れています。こうした最新技術を活用した診療は、当院ならではの診療スタイルの一つです。
治療では、薬物療法を中心としつつ、虚血性心疾患に対するカテーテル治療(経皮的冠動脈インターベンション)、頻脈性不整脈に対するカテーテルアブレーション、さらに末梢動脈疾患(PAD)や下肢静脈瘤に対する血管内治療など、幅広い循環器領域のカテーテル治療に対応しています。ペースメーカーに代表される心臓電子デバイス治療においては、リードレスペースメーカーといった最新治療も可能です。また、心房細動に対する新たな脳梗塞予防治療として注目されている経皮的左心耳閉鎖術をいち早く導入し、多数の治療実績があります。
循環器内科の特徴・特色
東京ハートセンターの循環器内科は、心疾患に対する高度かつ専門的な医療を提供することを使命とし、地域および広域から多くの患者様を受け入れています。当院は心臓病に特化した急性期病院であり、常に最新の知見と技術を取り入れながら、24時間365日対応可能な循環器診療体制を整えています。
最大の強みは、循環器専門医、総合内科専門医、カテーテル治療専門医、不整脈専門医といった各領域におけるスペシャリストに加え、看護師、臨床工学技士、薬剤師、管理栄養士、心不全療養指導士、心臓リハビリテーション指導士など、多職種が緊密に連携して診療にあたるチーム医療を実践している点にあります。大規模病院とは異なり、組織の機動力と情報の共有性を活かした、密度の高い連携が可能であることも当院の大きな特長です。これにより、虚血性心疾患、不整脈、心不全、弁膜症、心筋症など、あらゆる心疾患に対して、診断から治療、再発予防、生活指導に至るまで一貫した対応が可能となっています。
さらに、心臓血管外科や麻酔科との密接な連携も、当院の大きな特徴の一つです。虚血性心疾患や弁膜症などの重症例では、カテーテル治療に加え、外科的治療も選択肢に含めた最適な治療戦略を立案しています。特に、カテーテルアブレーションや経皮的左心耳閉鎖術などのカテーテル治療においては、心臓麻酔を専門とする麻酔科医による全身麻酔下での実施が可能であり、患者様の苦痛や不安を最小限に抑えた治療環境を提供しています。
また当科では、急性期の治療に加え、慢性期の療養病床における心不全や高齢患者の全身管理にも力を入れています。術後や慢性期には、心臓リハビリテーションや栄養指導を通じて、生活の質の維持・向上を目指した支援を行っています。疾患の治療だけでなく、再発予防や長期管理に至るまで、患者様一人ひとりに寄り添う“心臓医療”を提供しています。
担当医

井上 直人いのうえ なおと
理事長
略歴・経歴
昭和57年 3月 京都府立医科大学卒業
昭和63年 4月 京都第一赤十字病院 循環器科
平成 8年 4月 京都第二赤十字病院 循環器科
平成19年 1月 仙台厚生病院 循環器内科
平成23年 9月 東京蒲田病院 理事就任
平成24年 3月 東京蒲田病院 理事長就任
資格・専門医
日本心血管インターベンション治療学会指導医
日本循環器学会 循環器専門医
日本内科学会 認定内科医
日本超音波医学会 専門医
The Society for Cardiac Angiography and Interventions(FSCAI)
AHA International Fellow(FAHA)
日本心臓病学会 特別正会員(FJCC)

岡田 隆おかだ たかし
院長
略歴・経歴
1983年 山口大学医学部卒業
1983年 京都第二赤十字病院研修医
1987年 京都府立医大第二内科修練医
1988年 京都第一赤十字病院 循環器科
1999年 公立南丹病院循環器内科
2007年 京都第一循環器内科副部長
2010年 京都市立病院循環器内科 部長
2023年 東京蒲田病院 循環器内科統括部長
資格・専門医
日本内科学会 認定医
日本循環器学会 専門医
日本心血管インターベンション学会 専門医
浅大腿動脈ステントグラフト実施医
京都地方裁判者所属 専門委員

筬井 宣任おさい のりちか
副院長
略歴・経歴
平成19年3月 札幌医科大学医学部医学科卒業
平成19年4月 札幌医科大学附属病院 初期臨床研修医
平成21年4月 仙台厚生病院 心臓血管センター 循環器内科後期臨床研修医
平成24年4月 仙台厚生病院 心臓血管センター 循環器内科医師
平成26年10月 仙台厚生病院 心臓血管センター循環器内科 医長
令和元年5月 仙台厚生病院 心臓血管センター 循環器内科 主任医長 兼 臨床工学室 副室長
令和3年4月 大崎病院 東京ハートセンター 循環器内科不整脈センター長
令和6年9月 大崎病院 東京ハートセンター 副院長 兼 循環器内科 不整脈センター長
資格・専門医
日本内科学会 認定内科医 総合内科専門医
日本循環器学会 循環器専門医
日本不整脈心電学会 不整脈専門医
日本心血管インターベンション治療学会 認定医
日本心臓リハビリテーション学会 心臓リハビリテーション指導士
日本不整脈心電学会認定 心電図専門士
日本不整脈心電学会認定 植込み型心臓不整脈デバイス認定士
International Board of Heart Rhythm Examiners (IBHRE)
Certified Cardiac Device Specialist (CCDS) 認定取得
Cardiac Device Representative (CDR) 認定取得
植込み型除細動器(ICD)/ペーシングによる心不全治療(CRT)研修修了
完全皮下植込み型除細動器(S-ICD)実施医, 着用型自動除細動器(WCD)処方医
リードレスペースメーカ Micra および Aveir 実施医
経皮的左心耳閉鎖システム WATCHMAN 実施医
経皮的カテーテル心筋冷凍焼灼術(クライオバルーンアブレーション)実施医
パルスフィールドアブレーション 実施医
エキシマレーザー心内リード抜去システム 実施医
志村 由美しむら ゆみ
略歴・経歴
平成4年 東京女子医科大学卒業
平成4年 東京女子医科大学 循環器内科
平成7年 国立横浜病院 循環器内科
平成8年 埼玉県立循環器・呼吸器病センター 循環器内科
平成9年 済生会栗橋病院 循環器内科
平成9年 東京都立荏原病院 循環器内科
平成10年 西新井病院 循環器内科
平成13年 東京女子医大病院 循環器内科
平成15年 西新井病院 循環器内科
平成18年 東京北部病院 循環器内科
平成19年 西新井病院 循環器内科
資格・専門医
日本心血管インターベンション治療学会指導医
日本循環器学会循環器専門医
日本内科学会総合内科専門医
日本医師会産業医

不破 貴史ふわ たかふみ
略歴・経歴
2012年 慶応義塾大学医学部 卒業
東京都保険医療公社 豊島病院
2014年 東京都 済生会中央病院
2016年 仙台厚生病院 循環器内科
2019年 東京蒲田病院 循環器内科
資格・専門医
内科認定医
CVIT認定医